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湘南フレンチから京都フレンチへ移行中!祇園MAVO@京都

ジャンルを越えて、昨年、ヲイラが最も感動を受けたお店は、小田原城の近くにあるフレンチレストラン、「ラ・マティエール」でした。
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その研ぎ澄まされた鋭い感性と、高い美意識、一切の妥協を排し、独自の世界を疾走する独創的、且つ攻撃的な西村シェフの料理、そしてゲストに対するホスピタリティの高さ。
たった1度、しかもランチを戴いただけで、シェフの料理に完全に打ちのめされてしまいました。
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そして、素晴らしいレストランと出逢い、今後の楽しみが増えたと喜んだのも束の間、年内で店を閉め、京都に新しい店をオープンすると言う話を聞き、愕然とした事を覚えています。
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あれから、1年余り経った今年7月、西村シェフは京都に自身の新たな店、「祇園MAVO」をオープンさせました。
当初の予定では、もっと早い時期にオープン出来る筈だったらしいのですが、色々なトラブルが続き、時期が延びてしまったそうです。
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シェフは、収入のない長いクローズド期間を皮肉って、「”閉店痩せ”しちゃいましたよ」と笑っていましたが、確かに、ちょっとお痩せになり、より精悍な良い男になったような・・・。
ここに漕ぎ着けるまでに苦労が多かったのだと思います。
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さて、新しいお店の場所ですが、八坂神社の正門である南楼門(賑やかでない方の門が正門です)からすぐと言う至極便利な立地にありながら、喧騒から離れた閑静な街並みにある為、隠れ家的なレストランと言う雰囲気もあります。
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1ヶ月程前に予約を入れ、オープンから2ヶ月経った9月末、京都旅行2日目のディナーにお邪魔しました。
予約時間の午後6:30過ぎに店に到着すると、マダムが玄関で迎えてくださり、中へ案内されました。
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店内は、2部屋あり、手前の部屋はランチタイムとカフェタイム、奥の部屋がディナータイムに使われているようです。
奥のメインダイニングは、部屋の色調もインテリアもすっきりシンプルながら、明るくモダンでスタイリッシュ。
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そして、このメインダイニングには、料理の鉄人のキッチンスタジアムと言うのは大袈裟ですが、広々とした美しく豪華なオープンキッチンが備えられており、料理に取り組むシェフやスタッフの動きをテーブルから見る事が出来、お客としては楽しい造りになっています。
また、テーブルは、丸テーブルが3卓、ゆったりと配置されています。
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スタッフも、シェフとマダムの2人体制から、若い男性料理人2人、学生アルバイトの女性1人を加えた布陣に強化されていました。
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オペレーションは、「ラ・マティエール」時代のスタイルを踏襲しており、ランチタイム、ディナータイム共に完全予約制で、料理はシェフのお任せコース1本のみ。
(ランチ:5,000円、ディナー:10,000円、税・サービス別)
料理は各テーブル同時進行のスタイルも小田原時代と同様です。
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ワインは、料理一皿毎に合わせてバイ・ザ・グラスで提供されるペアリングワインをお願いしました。
(ちなみに、このペアリングワイン、凄いCPで、実にお得です。)

そして、この日のコースの内容は、こんな感じでした。
       ↓
最初に供されたのは、京都らしく、「おうす」でした。
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「はじまりは卵から」と題されたアミューズ

魚醤のエスプーマで覆われたカップにスプーンを入れると、中には色鮮やかな「卵黄のコンフィ」と「薫したイクラ」、そして「クルトン」が潜んでいました。
そして、そこには仄かなエスニックな風味も・・・。
聞き間違えでなければ、これは、何とアルバイトの女子大生の作品だとか・・・。
卵たちが持つ官能的な旨みと、魚醤の風味が良い塩梅で1つに纏まっていて、とても美味しいアミューズでした。
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シャンパーニュは、アグラパールのブラン・ド・ブラン。
4つの特級村を含む7つの村のシャルドネから造られたキュヴェで、B.B.とは思えないふくよかな味わい。
さすがは、ブラン・ド・ブランのスペシャリストと言われるだけあり、何でこんなに美味しいの?
今日は、これで通したい!と思ってしまった程。
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鳴門金時のブルーテ

美しいターコイズブルーの器で供された鳴門金時のブルーテ。
素材が持つ味の力強さと、和風テイストの出汁が効いた優しい味わいの一皿。
スープに浮かべた黄色い花びらは金魚草。
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これに合わされたワインは、モレ・サン・ドニの老舗ドメーヌ、「ミッシェル・マニャン」のシャルドネ。
柑橘系の爽やかな香りとフレッシュな酸を感じるワインでした。
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BOYA FARM 仔羊のパテ

北海道池田町にある飼育頭数日本一の羊牧場、BOYA FARMの仔羊を使った一皿。
写真左上がパテ、肉がぎっしり詰まっていて、非常に力強い味わい。
右上は、すね肉の煮込みで、やや甘めの味付け。
右下は、ローズマリーの風味が効いたロースのグリエ。
仔羊の美味しさを一番引き出していたのは、このグリエかな・・・。
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こちらに合わされたのは、アルザスのドメーヌ、「ツィント・フンブレヒト」のピノ・ノワール。
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子持ち鮎と名残り天然鮎のリエット

この子持ち鮎は、煎茶で4時間炊いた後、ムニエルにしたと言う手間の掛かった一皿。
ムニエルの下には、鮎の血合いで作られたリエットが敷かれており、これと一緒にかぶりつくと、仄かな苦味を含んだ大人のお味が口の中に広がります。
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横に添えられたリゾットは、先程の鮎を炊いた煎茶で炊き上げられているとの事。
リゾットの上の白い泡は、利尻昆布の出汁のエスプーマ。
そして、このリゾットが絶品でした。
鮎の旨みをたっぷり吸い、バターの芳醇な香りを纏った米は、絶妙のアルデンテで炊き上げられており、悶絶する程の美味しさでした。
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これに合わされたワインは、ビオディナミの伝導師ニコル・ジョリーの「サヴニエール レ ヴュー クロ 2010」。
葡萄はシュナン・ブラン。
輪郭がはっきりした個性的な味わいのヴィオ・ワインで、鮎の持つ苦味と良く合っていました。
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スッポンと松茸のロワイヤル風

蓋付きの美しい器で運ばれたのは、スッポンと松茸のロワイヤル風と名付けられた料理。
蓋を空けると、えも言われぬ香りが・・・・。
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そして、器の中はと言うと、底はフラン状になっており、その上に、スッポン、松茸、毛蟹等、贅沢な食材が、とろみの付いたコンソメの海を漂っていました。
至福の香りと深い味わい、フレンチと言うより、和食に近い一品でしたが、先程の鮎のリゾットと共に、この日、一番、刺さった一皿でした。
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これに合わされたワインは、勝沼のワイン。
甲州と言う葡萄で造られた「鳥居平今村 鳥居平ブラン キュヴェ・ユカ 2004」と言うワインでした。
2004年は、最高のヴィンテージで、特別なキュヴェだとの事。 
色は、フランスのジュラのワインを思い起こすような麦藁色。
香りや味わいはシェリーや紹興酒のようなニュアンスを感じる熟成したワインで、お料理との相性もばっちりでした。
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鱸のポワレ ブルターニュオマールのジュで

瑞々しい茄子と鱸のポワレ。
皿一杯に敷き詰められた色鮮やかなオマールのビスクソースが美味し過ぎ。
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これに合わされたワインは、「リンティクラルス」と言う名のイタリアのシャルドネ。
バニラ香を感じる芳醇なワインで、バターの効いたビスクソースと好相性。
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リセット、青森赤りんご/ジェネバ

ここで、ちょっと口直し。
青森県、鯵ヶ沢町産の「ジェネバ」と言う果肉まで赤いりんごを使ったソルベとコンフィチュール。
グラスの底には生の桃も・・・。
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マダムビュルゴー ルーアン鴨のアンチェロティー

メインは、凄いものが出て来ました。
日本には週に10数羽ほどしか入らないと言われる貴重な鴨、マダムビュルゴーのルーアン鴨。
しかも、それを1羽丸焼きにしたアンチェロティーです。
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ソースはピガラートソース。
最高の素材を完璧な火入れで仕上げられた此方、美味しくない訳がありません。
添えられた野菜は、四角豆。
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これに合わされた最後のワインは、ボーヌの「ロワ デュフルール」と言うドメーヌのピノ。
適度なタンニンと酸味を伴った熟成した味わいで、濃厚なソースに負けな力強さも備えたワインでした。

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フロマージュ

フロマージュは、ロックホールwithハチミツ、カマンベールwithピスタチオ、シェーブルwithイチジクの3種。
そして、大好きな生アーモンドも・・・。
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デザート

デザートは、ビオレソリレスと言う黒イチジクのパイ包み。
(パイの下には抹茶のパウダー、上には紅茶のゼリーがトッピング)
そして、バニラとオレンジのドルチェ。(周りには、クラッシュしたコーヒー豆が散りばめられていました。)
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ドリンクはコーヒー、紅茶、ハーブティー等の選択肢がありますが、コーヒーをお願いすると、ケニア産のアラビカ豆で淹れたコーヒーが、大きめのワイングラスに注がれて登場しました。
非常に香り豊かなコーヒーで、テーブルにグラスが置かれた瞬間、一面に美味しい香りが広がりました。
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小菓子

続いて、祇園MAVOの名前が刻まれた2段重が目の前に運ばれました。
まだ、出るの?と言う感じです。
お腹は、とっくに、ピークメーターを振り切っています。
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そして、蓋を開けると、これ、「小菓子」って言わないでしょう!」
と言いたくなる立派で、凝り懲りの「作品!」が目に飛び込んで来ました。
枯山水の庭園に見立てた一の重?は、和三盆の砂利が敷き詰められ、金平糖の島、もみじの葉が配されています。
そして、もう1つのお重には、薩摩芋のシュー包み、マシュマロ、ほおずき等が美しく並べられていました。
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食事を終えての感想ですが、「ラ・マティエール」は、これぞフレンチ!と言うど真ん中のフレンチでしたが、新店では、かなり和の要素が加わった印象を受けました。
意識的にそうされているのか、はたまた、京都に店を構えた事で、京都ならではの豊富な和の食材に出合い、自然とそうなったのかは分かりませんが・・・。
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各々の料理については、非常に感動的な料理がある反面、あまり印象に残らない料理もあり、全体としては、「ラ・マティエール」で戴いた時の感動には及びませんでした。
しかし、それは、当たり前と言えば、当たり前ですよね。
シェフは、小田原から京都に移って、また「ラ・マティエール」をやろうなんて思っていないでしょうし、京都と言う新天地で、新たな自分のフレンチを創造して行こうと、今、スタートしたばかりですからね。
ですから、以前とスタイルが変わる事も当然ですし、今は、色々な面で試行錯誤の連続だと思います。
そう言う状況の中で、ある程度完成の域に至っていた以前の店と比較するのは意味がない事でした。(反省)
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料理に対して、人一倍の熱い情熱をお持ちのシェフですから、来年の今頃は、きっと、びっくりするような新しい京都フレンチを完成させているような気がします。
京都を訪れた際は、また伺わせて戴きます。
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祗園MAVO
京都市東山区下河原通上弁天町440 舞風館1F
075-708-6988
lunch・・・12:00入店-12:15料理スタート
dinner ・・18:30入店-19:00料理スタート 
定休日 火曜日(不定休)
by kansukenator1 | 2014-10-19 12:28 | フレンチ | Comments(0)


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