10月一杯で閉店!「澤屋まつもと酒道場」@横浜希望が丘

地元以外の人にはピンと来ないと思いますが、横浜駅と海老名駅を結ぶ相鉄線沿線に、「希望が丘」と言う小さな駅があります。
その北口から徒歩3分くらいの場所に、「澤屋まつもと 酒道場」と言う、個性たっぷりの知る人ぞ知る「おでん」の名店が、ぽつんとあります。
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店主の松本庄平さんは、1791年創業、200年以上の歴史を持つ京都伏見の老舗酒蔵、「松本酒造」のご子息で、食通、そして幻の料理人として数々の逸話や経歴を持つ方。
強面で、いかにも関西人と言った強烈なキャラからは、そんな名家の御曹司には見えませんが・・・。(失礼)
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その松本庄平さんですが、故・松下幸之助に、「松本庄平のスッポン鍋を食べてから死にたい」と言わしめたり、かの伊丹十三監督の映画「たんぽぽ」のたんぽぽラーメンの生み親であり、映画における料理全般の監修も務めた方。
また、日本人で初めて、パリにラーメン店をオープンした人物としても知られる方だそうです。
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こうした話を聞くと、敷居の高い店のように思われるかも知れませんが、店の佇まいは、お世辞にも綺麗とは言えない、ごく普通の居酒屋風情の小さな店です。
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店の壁には、伊丹十三の他に、宝塚出身の某大物女優や、若手人気女優、誰もが知っている有名ミュージシャン達が、此方を訪れた際に撮ったご主人とのツーショット写真やサインが貼られています。
幻の料理人と呼ばれる所以は、こうした経歴を持ちながら、神出鬼没で、どこにいるか分からない行動の持ち主でもあるところから来ているそうです。
そう言えば、此方の定休日は日曜・祝日となっていますが、毎年7~8月は、店を閉めて、松本酒造の特約店巡りと全国の旨いもの探しの旅に出掛けると言う気ままなでマイペースな方です。
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高校時代の友人が、この夏に、希望が丘に引っ越したので、此方の話をしたところ、凄く興味を持ってくれて、仲間数人と伺う事が決定!
長~い、長~い8月が明けるのを待ち、9月になり、速攻で予約を試みると、何と、ご主人の健康上の問題で、10月一杯で店を閉める事になったのだと・・・。
それで、予約が殺到して、9月中の予約は全く無理と言う事だったのですが、無理を言って、何とか席を用意して戴ける事になったと言う次第です。
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実は、松本さん、日中は、松本酒造企画室長として普通に働いた後、夜は、「澤屋まつもと 酒道場」の店主として働くと言う激務をずっと続けておられ、体が悲鳴をあげたと言う事なんですね。
もう、結構、お歳ですしね。

詳しい病名は伏せますが、医者に、昼か夜のどちらかの仕事を止めるよう、勧告されたそうです。
冗談で、昼の仕事を止めて、店を続けてくださいよ!と突っ込んだら、夜の方が遥かに体がシンドイからね!と・・・。
店は閉じますが、依頼があれば、たまになら、出張料理人として、出向く事は可能と言われていました。
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間もなく、閉店してしまうお店のMENUやシステムを紹介しても意味がないかも知れませんが、自分自身の備忘録も兼ね、軽く、触れさせて戴きます。

此方のMENUは、1000円、2000円、3000円の3種類のコース。
1000円コースは、おでんの盛合わせが鍋でど~んと1度に出て来るタイプ。
2000円コースと3000円コースは、おでんが懐石風に、お椀に1種類ずつ供されるパターンで、8寸や、おでん以外の一品料理も付いています。

量的には、2000円コースで十分と思われましたが、最初で最後と言う同伴者達の希望で3000円コースをお願いしました。

アルコールは、ビールの他は、当然、まつもと酒造のお酒のみです。
燗、常温、冷のいずれかで供され、1合500円(だったと思います。)
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八寸

塩らっきょう、九条ネギのぬた、赤貝の煮付け、もずく、のどぐろの煮汁で炊いたオカラ
どれも、手間を惜しまず丁寧に作られた事が分かる、そして酒の肴として申し分のない料理です。
こう言う料理を美味しく思えるようになったとは、ヲイラも大人になったものです。
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3種類の焼き貝

秋田のしろ貝、アサリ、??? ゲランドの塩をふりかけて焼いだけと言う”Simple is best”の一皿。
貝の自然な旨みが半端なかったです。
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ウェルカム・スープ

上品で繊細な旨みの極上スープ、松本さんの豪快なキャラからは想像できない繊細な味わい。
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煮シイタケ
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おでん

<大根&竹輪>
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<ソーセージのレタス包み>
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<鶏のセセリ>
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<スッポン(差し入れ)>
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<タコ>
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<鱧天&ふぐ>
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<とうもろこし&ヒイカ>
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<モッツェレラチーズと餅が入いった松本さん曰く、”モッチャレラの巾着”>
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<鱈、コンニャク、練り物、ふぐ再び・・・・。>
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てな具合で、食べ切れない程、出て来ます。(全部、食べましたけど・・・・)
モロヘイヤ? 
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からすみ
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スッポンの雑炊&梅干
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まつもと酒造のお酒は、すっきりしていて、優しく、癖がなく、とてもピュアな味わい。
どんな料理とも相性が良さそうで、ワインで言うところの、サシャーニュ・モンラッシェのような存在と言ったら良いのかと・・・。
そして、飲み疲れ、飲み飽きしないお酒なので、ぐびぐび行っちゃって、困るお酒です、笑。
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そして、松本さんが作るおでんは、自分が知っている一般的なおでんとは、少々、次元の異なる料理と言う感じがします。
タネも、普段、おでんに使われないような素材が色々使われていますし、なんと言っても、その特徴は、旨い出汁にあります。
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カウンター越しに設置された、おでんを煮込むスープは2種類用意されており、1つは、松本さん曰く、シングルモルトスープ、もう1つは、ブレンデッドスープです。
前者は、事前に味の下ごしらえを施したタネ等を、お客に出す直前に、短時間、さっとくぐらす程度に使うスープで、他のタネの味が浸みこんでいないピュアなスープ。
後者は、ある程度、煮込むタネ用で、色々なタネの旨みを吸っているスープ。
この2種類のスープを使い分けています。
そして、どちらのスープも、スープの入った容器は、直接、火に掛けず、湯を張った別の容器に浮かべて加熱すると言う遣り方がとられています。
このスープの美味しさは、スープだけで、お酒が飲める感じです。
おでんは、懐石風に、1種類ずつ、お椀に入れて供されますが、美味しいので、その度に、スープを全部飲み干してしまいます。
そのせいで、胃の中でアルコールが薄まるのか、翌日、二日酔いが全くありません。
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松本さんは、一見、頑固で厳しそうに見えますし、一般的な尺度では到底計り切れない強烈な個性をお持ちの方なので、好き嫌いが、はっきり分かれる店だと思います。
一昔前の自分だったら、苦手なタイプの店だったかも知れません。
しかし、今の自分には、此方のお酒も、料理も、ご主人もとても素晴らしく思えます。
松本さんは、こう見えて、実は、話好き(マシンガントーク炸裂!)で、優しくて、とてもチャーミングな方です。
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3000円のコースとビール、日本酒を散々飲んで、お会計は1人、4000円。
利益を出す気が全くありません。
やっぱり、変わった店です。
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それにしても、松本酒造の御曹司が、何故、居酒屋をやっているのか?
 しかも何故、希望が丘なのか?
そして、何故、こんなに安い価格設定にしているのか?
疑問は尽きません。
その謎を探るべく、閉店前に、もう一度、伺いたく、10月に予約を入れて帰りました。
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P.S.
9月下旬、2泊3日で京都に行って来たんですが、最終日に、伏見まで足を延ばし、松本酒造の醸造所を見て来ました。
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歴史を感じる気品と風格を備えた(松本氏のキャラとは異なる、笑)美しい醸造所でした。
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これが醸造所正面玄関の門に貼られたプレート。
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この広大な敷地敷地全てが松本酒造の敷地です。
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澤屋まつもと 酒道場
横浜市旭区東希望ヶ丘97-17
090-9973-9783
18:00~21:00(L.O.)
定休日 日曜・祝日
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by kansukenator1 | 2014-09-13 17:49 | 和食 | Comments(0)


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